水を汲んで送るだけ!調べたい魚の在・不在がわかります。

従来の生物モニタリング手法は、目視観察や捕獲などの直接的な方法が多く、膨大な労力や時間、コストが必要でした。環境DNAとは、水中に残った生物の体液や鱗、糞便由来のDNAのことです。この環境DNAをリアルタイムPCRや次世代シーケンサーを用いて分析することで、低コストで生物の在・不在や生物に関する情報を網羅的に把握することが可能です。
2023年5月に『生物多様性国家戦略2023-2030』が策定され、2030年に向けた目標として『ネイチャーポジティブ』が掲げられました。ネイチャーポジティブとは、『自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる』ことを意味します。企業活動においても、生物多様性への影響やリスクを評価し、目標を設定して開示するための枠組み(TNFD)の構築が進んでおり、生物多様性保全を経営課題として捉える考え方が、投資家や金融機関の間でも高まっています。このような背景の中で、生物多様性調査の手法として環境DNA分析が注目されています。
POINT 1
直接生物を捕獲する労力・コストが削減できる。
POINT 2
目視で確認できなくても生物の有無が把握できる。
POINT 3
調査水域ごとの生物量の比較ができる。
環境DNAとは
環境DNAとは、環境中に存在する生物由来のDNA断片のことです。 この環境DNAをリアルタイムPCRや次世代シーケンサーを用いて分析することで、 低コストで生物の在・不在や生物に関する情報を把握することが可能です。

環境DNA分析の種類
環境DNAによる解析の種類は2つに分けられます。
1.種特異的分析:特定の生物種のDNAを定量的に示すことができる

2.網羅的分析:特定の分類群(魚類など)の種構成を示すことができる

環境DNA分析の特徴
環境DNA分析における長所・短所の一例を示します。
高原ら(2016)「環境DNA分析の手法開発の現状~淡水域の研究事例を中心にして~」から引用
長所
・野外調査コストを大幅に削減できる
・調査による環境破壊がほとんどない

・採捕調査より感度が高い

短所
・死亡個体に由来するDNAも検出してしまう
・環境DNAが検出されても集団の齢構成やサイズ構成がわからない

・網羅的分析の場合、区別できない近縁種がある。
※種特異的分析では区別できる可能性があります。

調査事例
種特異的分析 ①外来種の調査
チャネルキャットフィッシュは強影響外来種であり、滋賀県では2019年の琵琶湖侵入確認以降、駆除調査が続けられています。
弊社は滋賀県水産試験場・龍谷大学山中教授と共同で、環境DNA分析と採捕調査を比較し駆除効果を検証しました。
その結果、瀬田川河口と洗堰周辺に多く生息していること、また環境DNAの方がより高感度に駆除効果を評価できることが明らかになりました。


特異的分析 ②琵琶湖産貝類の種判別
イケチョウガイは琵琶湖で真珠母貝として利用されてきましたが、中国産ヒレイケチョウガイによる遺伝的汚染が報告されています(Shirai et al., 2010)。弊社は龍谷大学山中教授と共同で判別用プライマープローブを開発しました。水産試験場の依頼により稚貝を傷つけない環境DNA分析を用いて、稚貝の遺伝子判定を実


網羅的分析 ①滋賀県・西の湖調査
琵琶湖の最大の内湖である西の湖では、近年アオコの発生による水質汚濁が深刻な問題となっています。
弊社では、西の湖における水質調査を行うとともに、魚類相の把握を目的として、流入河川及び、湖において、環境DNAを用いた魚類の網羅的分析を実施しています。


分析内容
魚類網羅的分析
次世代シーケンサーを用いた MiFishpipeline による魚類の分子同定を実施しています。
| 価格 |
・環境DNA保存液あり ・環境DNA保存液なし |
| 必要試料量 |
水試料 1L |
| 検査日数 | 20~30営業日 |
種特異的分析
| 価格 |
・環境DNA保存液なし |
| 必要試料量 |
水試料 500ml |
| 検査日数 | 10営業日 |
分析可能種
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種類 |
学名 |
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アカミミガメ |
Trachemys scripta elegans |
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アユ |
Plecoglossus altivelis |
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アメリカザリガニ |
Procambarus clarkii |
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イケチョウガイ |
Hyriopsis schlegelii |
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イワトコナマズ |
Silurus lithophilus |
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ウシガエル |
Lithobates catesbeianus |
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オオクチバス |
Micropterus salmoides |
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カタクチイワシ |
Engraulis japonicus |
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カミツキガメ |
Chelydra serpentina |
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カワバタモロコ |
Sarcocheilichthys variegatus microoculu |
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コイ |
Cyprinus carpio |
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種類 |
学名 |
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コクチバス |
Micropterus dolomieu |
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チャネルキャットフィッシュ |
Ictalurus punctatus |
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ヒレイケチョウガイ |
Hyriopsis cumingii |
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ビワコオオナマズ |
Silurus biwaensi |
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ブルーギル |
Lepomis macrochirus |
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ホンモロコ |
Gnathopogon caerulescens |
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チャネルキャットフィッシュ |
Ictalurus punctatus |
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マイワシ |
Sardinops melanostictus |
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マナマズ |
Silurus asotus |
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オオサンショウウオ |
Andrias japonicus |
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チュウゴクサンショウウオ |
Andrias davidianus |
水質パック 同封物の例(網羅的分析 環境DNA保存液あり)

環境DNA保存液(10%塩化ベンザルコニウム溶液)
環境DNAは、環境中からごく微量なDNAを抽出するため、試料中のDNA分解を抑制する必要がありました。弊社は、龍谷大学および神戸大学との共同研究において、塩化ベンザルコニウム(BAC)が環境DNAの分解を抑制することを発見し、BACを水試料に添加することで、長期保存が可能となることを確認しました。
POINT 1
直接サンプルに添加するだけ!
POINT 2
常温でも保存可能!
POINT 3
10日間以上の保存可能!
◇実験例:短時間(6時間)での添加比較実験

「環境DNA調査・実験マニュアル」 一般社団法人 環境DNA学会
「環境 DNA 分析技術を用いた淡水魚類調査手法の手引き 第3版」環境省自然環境局 生物多様性センター
に記載されております。
弊社に分析依頼を頂いた場合は特許使用許可は不要になります。

